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【降っても晴れても すきっぷびより】<128>はじめての「友だちを家に呼ぼう!」大作戦

2024年09月30日

  • 繝輔ぉ繧、繧ケ繝悶ャ繧ッ

「○○さん(クラスの友だち)に、家に来てほしい」。
中学2年の長男の一言から、今回の壮大な(?)プロジェクトは始動しました。

約500グラムで生まれ、知的障害や自閉症、肢体不自由のある息子。学校では楽しく過ごしているものの、「学校の友だちが家に遊びに来る」ことは、これまで一度もありませんでした。

友だちは、数の多さや一緒にいる時間の長さじゃない。ひとりでいるのが好きな子もいる。
そう思いつつ、公園で肩を寄せ合ってゲームに興じる小学生や、自転車で連れ立って出かける中学生を見ては、「わたしが小さく産まなければ、あの輪の中にいたのかなぁ…」「もっと社交的な母親だったら、わたしを通じて仲良くなれていたかも…!?」と、胸がチクッと痛むこともありました。

よし!ぜひ、遊びに来てもらおう!!
友だちが大好きな息子と一緒に、「家に呼ぼう大作戦」の始まりです。

準備①お手紙編
まずは息子に「だれを呼びたいの?」と聞き、挙がった男女9人の名前を紙に列記。全員違う小学校出身の子で、親同士もつながっておらず、どうやってやり取りすれば!?が、第一関門でした。その名前を書いた紙を学校に持って行かせたところ、誘われた子たちが「行きたい!いつ行っていいの?」と聞いていた、とのこと。次は日程調査のアンケート表を作成。候補日を9月22日(日)と23日(月・祝)に絞り、OKな日と都合のいい時間を記入してもらいました。

最終的に来られることになった4人に、息子のLINEのQRコードと自宅の地図画像、わたしの携帯番号が入ったお手紙を配布。うち1人からは「友だち、あと2、3人連れて行きたいです!」と言われ、こんな狭小住宅に入りきるのか…?と身震いしつつ、こうなったら、みーんな大歓迎!! 覚悟を決めました。

準備②遊び編
イマドキの中学生って、何をして遊ぶの…!? 今回、いっっちばん悩んだのがコレです。
ゲーム機のたぐいはないわが家。あるものと言えば、そろっていないトランプ、そろっていない百人一首、壊れかけの人生ゲーム、ブロック、年代物のアンパンマンのおもちゃ…(汗)
知的障害のある息子も、現代の若者も楽しめるもの… さんざん悩んだ末、トランプとオセロ、エアホッケー、「青春のはぁって言うゲーム」(スタンダード版はありますが、パーツがそろっておらず…)を購入。先日金曜ロードショーを見て衝動買いした「天空の城ラピュタ」の名台詞かるたも、登板が決定。

準備③おやつ編
当日のメンバーは、中学生が息子を含め6~7人、高校生の娘と彼氏、5歳の末っ子、わたしと夫の計12人。
コーラ、ジンジャーエール、いやファンタか…ファンタは、オレンジ?グレープのほうがいい!? ジュースひとつで永遠に悩む母(わたし)…。「せっかく来てくれる息子の友だちに、喜んでほしい」。そう思えば思うほど、肩に力が入り、思考は迷宮入りしていきます。

こんなとき、自分の料理力のなさが悔やまれます。ササッとお得意のシフォンケーキでも焼けたらいいのに…人生で一度も焼いたことないけど…
「張り切りすぎると、悲劇が起きる」。子どもとの生活でいやというほど学んできたため、料理上手の素敵ママを演じるのはあきらめ、市販のお菓子と100均でコップ7個、紙皿も購入。

三連休はひたすら大掃除に励みました。最後は必殺、「とにかく2階に隠せ作戦」で、階段をエンドレス往復。息子は連日、「みんな、何時に来る?」「一緒にゲームする?」と、待ちきれない様子です。

結局6人の子が遊びに来てくれて、ババ抜きや風船バレーで大盛り上がり。
ラピュタかるたは、予想以上に大好評。5歳の弟もたっぷり遊んでもらい、家じゅうに笑いがあふれた一日でした。

「しんたろう(←息子)、○○しようや!」「しんたろう、こっち来て!」。
友だちとして自然に、楽しそうに関わる中学生たちを見ながら、わたし自身は「学級委員として」、障害のあるクラスメイトに接していた気がする…と、自分の子ども時代を省みる瞬間も。

その夜、「楽しかった!次はいつ行っていい?」「今度はうちに遊びに来て」と、お友だちから続々とLINEが。障害のある息子が地域の学校に通うには数え切れぬ困難がありましたが、素敵な出会いに恵まれ、こんな日が来るとは…。「ふつう」に生まれた子にとっては当たり前のことも、わたしには涙が出るほど、幸せな光景でした。

そして驚いたのは、息子の変化。
「自立に向け、スマホで連絡ができるように」と、療育の先生に勧められ、夫の古いスマホに息子のLINEアカウントをつくり、家族などを相手に“練習”するようにしていたものの、「怖い」と、ほとんど触らなかった息子。友だちからLINEが来るようになると、毎日欠かさずスマホを開き、うれしそうにやり取りをするようになったのです。

やっぱり子ども同士はすごい。友だちって、すごい。

全身全霊をかけたプロジェクトが終わり、「あしたのジョー」状態で燃え尽きつつ、友だちの偉大さに胸が熱くなる母でした。

▽萩原 真(はぎわら まこと)
【降っても晴れても すきっぷびより】は、すきっぷスタッフで元記者の萩原が、3人育児のドタバタや障害のある息子との生活で感じたこと、うれしいことから尽きない悩みまで本音満載でお届けします。

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