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(113)門脇早聴子講師 楽器の演奏 デタラメでも楽しければ

2023年02月07日

  • 繝輔ぉ繧、繧ケ繝悶ャ繧ッ

 「何か楽器の演奏はできますか?」と聞かれると、皆さんはどう答えるでしょうか。「ピアノなら少し弾けるよ」とポジティブな回答の人もいると思いますが、「いやいや、楽器は習ったこともないしできないよ」「昔、小学校の時にリコーダーをしたけど、ドレミの場所も覚えてないし吹けないな」などとあまり自信がないという人もいるかもしれません。
 日本の小学校や中学校では、ほぼ100%の確率で、音楽の授業の時に楽器を使った活動を行っています。鍵盤ハーモニカやリコーダーを演奏したり、タンバリンや太鼓といった打楽器なども入れて合奏をしたりと、楽器に触れる機会は多いです。これは世界中の音楽教育の中でも結構珍しいことなのです。しかし、先に述べたように楽器を演奏できるかと質問してみると、謙遜なのか「できる」と自信を持って答える人はあまり多くありません。いろいろな楽器経験はあるはずなのに、なぜ「できる」と思う人が少ないのでしょうか。
 私個人の考えとしては、普段聴いているミュージシャンや音楽家のような素晴らしい演奏はできない、ということだと思うのです。人に演奏を披露して拍手をもらえるような完璧なものを心のどこかで想像してしまうのかもしれません。
 前置きが長くなってしまいましたが、子どもたちは楽器で遊ぶことが大好きです。目の前に楽器があると、例えば手で持って振ると音が出るマラカスや、棒でたたくといろいろな音が出る木琴などに夢中になって取り組んでいます。
 保育園や幼稚園などでは、既製の楽器で音楽活動をすることもありますが、自分で見たことのある楽器を作ってみようとする姿も見られます。ドラムセットを空き缶やバケツを使って作ったり、ティッシュの空き箱と輪ゴムでギターを作った後に、お手製の楽器でいつのまにか舞台らしき台の上に立って自然と演奏会が始まったりします。
 どちらの子どもも、完璧な音楽を演奏しようというよりは、自分が今感じたままの気持ちを音や音楽で表すことを楽しんでいるのです。
 誰かが作曲した音楽をそのまま演奏するだけが音楽の楽しみではありません。デタラメに音を鳴らしたって、楽しければ良いのです。お子さんと一緒に、心の赴くままに楽器を鳴らすひと時を楽しみませんか?
     ×   ×
 子育てをテーマに、兵庫教育大大学院学校教育研究科の教授らがつづります。
 ◇原則、第4日曜に掲載します。

▽かどわき・さきこ 兵庫教育大大学院講師。主な担当科目は「幼児の生活と表現(大学院)」、「保育内容表現論(学部)」。研究テーマは「器楽教育の歴史」、「音楽を伴った身体表現」。

2023/01/22 神戸新聞

  • 繝輔ぉ繧、繧ケ繝悶ャ繧ッ

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