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(109)藤崎亜由子准教授 生きものたちとの出合い 子どもの心に風を運ぶ

2022年09月27日

  • 繝輔ぉ繧、繧ケ繝悶ャ繧ッ

 画家・児島虎次郎(1881~1929年)の作品に「登校」と名付けられた絵があります。着物姿の姉妹2人が小学校に登校する道中を描いたものです。妹はシオンの花を手に持って右下に目を落とし、姉の方は日傘をさしつつ、画面の奥、左側へと目線を落としており、明るい日差しとは対照的に物憂げな様子です。
 朝にケンカでもしたのでしょうか。連れ立って歩く姉妹は、言葉を交わすきっかけがつかめないのか、お互いそっぽを向いています。そんな姉の目線をたどると、そこには1匹のトンボが翅(はね)を休めています。トンボが飛び立ったら、2人の心が動き出しそうな、そんな瞬間を切り取った絵に感じます。
 人は人との関係の中で、泣き、笑い、安心し、自信を得るとともに、時にはいらだち、怒り、悲しみを覚えます。切っても切れない関係だからこそ、つながりは人を支え、そして傷つけもするのです。そんな時に、人間以外の生きものとの出合いが、心を軽くしてくれることがあります。
 ある幼稚園で見た年中の男の子のエピソードを紹介します。その子は、むっとしながら1人でとぼとぼ廊下を歩いていき、「もういい!」という風情で運動場の端にしゃがみ込みました。すると、地面にクロヤマアリがいて、それを指でつついたり砂をかけたり、エサを運ぶのを邪魔したりしているうちに、なぜ怒っているのかも忘れてしまったのか立ち上がり、にぎやかな子どもたちの輪の中に再び足取り軽く入っていきました。
 人間社会の論理の外にいる生きものたちとの出合いは、子どもたちの心にもふっと新鮮な外の風を運んでくれるようです。
 幼稚園や保育所には、たくさんの生きものがいます。保育室の横にある小さな池にいて、のんびり日なたぼっこをしているカメや、正門で毎朝交わされるあいさつを覚えて「オハヨウ」と子どもたちを出迎える野生のカラスなどは、まるで子どもたちの仲間です。生まれたウサギの子をさらっていこうとするカラスや、子どもたちの大切なおままごとの材料のピラカンサの朱(あか)い実をあっという間に食べつくしてしまうムクドリなど、日々巻き起こる「事件」もまた刺激的です。
 そんな生きものたちと一緒の子育ては、飽きることがありませんね。
    ×   ×
 子育てをテーマに、兵庫教育大大学院学校教育研究科の教授らがつづります。

▽ふじさき・あゆこ 鹿児島県生まれ、大阪府在住。2018年兵庫教育大大学院准教授。専門は発達心理学。子どもの発達と生きものとの関わりについて研究。

2022/09/25 神戸新聞

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