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怒ると逆効果、子供への効果的な接し方-PCITを用いて

親子の時間、怒ってばかりにならず、楽しく過ごすには? 効果的な方法を精神科専門医の井窪薫先生に教えていただきました。

2024年05月27日

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新学期が始まったのも記憶に新しいこの頃ですが、もうすぐ夏休みのことを考える時期になってきました。現在私の住んでいるアメリカは、6月から8月半ばまで夏休み期間で、長い夏休みをどうやって過ごすか悩んでいます。親子の時間も増えるので、怒ってばかりいないで楽しい親子の時間が過ごせたらと思っています。

 

そんな中、少しご紹介したいのが、PCITという心理療法です。

PCITは Parent Child Interaction Therapy のことで日本語にすると親子相互交流療法といいます。子供の行動の問題に対して、親がどのように働きかけるかを学ぶ親子のトレーニング方法です。

子供は親の気を引こうといろんな行動をします。良いこともすれば、良くないことも。

子供にとってはどちらも『注目』される行動であり、注目されることに気が付くと、もう一度同じ行動をします。良くない行動をして注目を集められることを学んだら、もう一度良くない行動をします。そんな時に取り入れて欲しいのがPCITです。

 

手順としては、良い行動は積極的に褒めて、悪い行動に関しては叱るなど反応せずに、無視をするということです。そうすると少しずつ『この行動をしても注目してもらえない』と子供も気が付き、良くない行動は少しずつ減ってくると言われています。またそれ以外の注目を集める方法として、親が一日5分でもその子に注目して一緒に遊んだり話したり、ご褒美タイムを作ってあげるということが重要とも言われています。

私自身も取り入れるようにしていますが、一番難しいと思うステップは、褒めるということでした。気恥ずかしいというのもありますし、良い点に関しては、意識していないと見逃してしまう部分も多いのだと痛感しました。これを機に私もいいことセンサーの感度を上げる必要があると感じました。

親子の関係は毎日の積み重ねで、日々の劇的な変化は見られないのですが、少しの意識改革を続けることで大きな変化をもたらすと思っています。

全ては知ることから始まると思っていて、子供が喧嘩しているのをイライラしながら見るという時間も、少し視点を変えて『喧嘩しながら人との距離を学んでいる』と思えば、親のイライラは少し解消するかもしれません。

最初は取り入れるのが難しいと思いますが、少しずつ取り入れてみると、ある日突然、効果を実感する日がやってきます。また、上手くいかなければ自分に合うようにアレンジしてみたらいいと思っています。みんな育児スタイルは様々なので、それぞれのやり方で無理のない方法を考えてみましょう。いろんなスキルを取り入れつつ、限りある親子の時間を大事にしてもらえたらと思います。

【アドバイスをいただいた専門家】

医学博士 精神科専門医 産業医

専門分野:精神神経

 

井窪 薫 先生

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