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『発達の悩み、どこに相談?児童精神科とは?』

発達の悩みの相談先や児童精神科の向き合い方、周りの理解の大切さについて、精神科専門医の井窪薫先生に教えていただきました。

2023年02月22日

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 ようやく、withコロナの生活様式になってきましたが、約3年間の生活様式の変化が子どもの成長に大きな影響を与えています。長期間のマスク生活で、大人の口の動きを確認できず、言葉の発達が遅くなっているという見解もあります。また、長期間の自粛で、親子関係に変化があった方も少なくないと思います。子どもの発達について、どこに相談すればいいか悩んでいる人も沢山いるのではないでしょうか。

 

 近年よく耳にする児童精神科は、幼少期~思春期にかけて起こる心の疾患全般、及び発達障害に関連する問題について診療しています。児童精神科も、小児科医が診る場合と精神科医が診る場合があり、特徴に少し違いがあります。これは私見ですが、小児科医は子どもの特性を大事にしており、発育に必要な言語療法や作業療法を取り入れている場所が多いです。精神科医は親と子の関係性に重きをおき、ペアトレーニングなどを通じて親子関係の立て直しなど行っている場所が多いように感じます。どちらの科であっても子どもが生活しやすいように整えるという同じ目標ですが、少し山の登り方が違うような印象です。

 

 また自治体による違いもあり、一概にどちらがいいと言うものではなく、前述した通り目標設定は大きく違いません。大切な点は、悩みを家族内でとどめて悪化する前に、どちらでもいいので相談相手を作ることだと思います。もし、病院という場所が苦手というようであれば、児童家庭支援センターを利用するのも一つです。

 

 まず診療の流れとしては、どちらも診察や心理検査で子どもの知的発達の状態や発達特性を調べます。それらの結果の情報を家族や園、学校で共有し、本人が過ごしやすい環境を整えます。必要であれば他の福祉機関と連携をとる場合もあります。みんながスペシャリストであるというのが重要ではなく、チームとして、その子を支えていく意識が大事だと思っています。

 

 その為には、家族だけでなく、子どもに関わる職業の人が『発達障害』に関して知識をつけ、偏見をもたないようにする必要があります。発達障害の子は、「頑張っているのに上手くいかない」「また、やってしまった」という失敗体験の繰り返しから、自信を失ってしまう子も沢山います。このような二次障害を予防できるように周囲の大人がその子の抱えている困難さに気づいて理解することが必要です。一番大事なことは、病名ではなく、その子が今後社会に繋がるために何ができるか、だと思います。児童精神科の領域は、受診したら医者がすべて解決したり、万能の治療薬があったり、というものでは残念ながらありません。

また、すぐに子どもの抱えている背景が見えるわけではないので、診断には時間がかかります。他の科に比べると少し長丁場のお付き合いになりますが、みんなで一緒に、今、最善な策を考え、子どもが楽しく過ごせる環境を作れればいいなと思っています。

 

 子どもの可能性は大人の想像を超えることがたくさんあります。発達の特徴があるゆえに、思いつく発想も沢山あります。全ての子どもが自分の人生を楽しめるように、そして一人で悩む親が、少しでも減る社会になればいいなと願っています。

 

【アドバイスをいただいた専門家】

医学博士 精神科専門医 産業医

専門分野:精神神経

 

井窪 薫 先生

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