ケアをしている人へのタッチケア
新型コロナウイルス感染対策が続くなか、誰もが誰かをケアし、誰かからケアを受けています。
今回は、ケアをしている人へのタッチケアをお届けします。
「ケアをしている人」ってどんな人でしょう。
「ケア」は身体的なケア、心理的なケア等と使われます。
誰かの世話をすることや介護をすること以外に、配慮や心遣いなど誰かを思い気遣うことも含まれます。例えば 保育士や教諭、介護や医療などの人を対象とした仕事をしている人、子どもを育てる親、親の世話をしている人、兄弟の世話をしている人、夫や妻、友だちなど誰かを心配し心を尽くしている人。
ケアをしている人は、実は身近にいたり、「私もそうだ!」と気がついたりすることでしょう。
もしかしたら、ケアをしている人同士のタッチケアになるかもしれませんね。
それでは、タッチケアの具体的な方法をお伝えします。服の上からのタッチケアで簡単です。
1.相手に準備をしてもらいます。
背もたれのない椅子に座ってもらいます。可能ならば、テーブルに肘をついたり、クッションを抱えてもらったりして上半身が支えられる体勢がとれるといいでしょう。もちろん、うつぶせに寝てもらっても構いません。
手を洗って、マスクをつけます。服の上からですので、手を洗ってすぐで大丈夫です。手袋をしていても出来ます。タッチケアに影響はありません。
2.斜め後ろに座ります。
背骨を中心線と考えて、左右2つに分けて行います。
3.「触りますね」と声をかけ、両方の手のひらを肩の少し下に当てます。
声をかけるのはこの一言だけ。あとは言葉は必要ありません。
4.背骨を中心に左右、片方ずつタッチをしていきます。順番や長さなどは自由です。
背骨側から外側へ、手のひらを横に動かします
手のひらで円を描くように動かします
肩から腰のほうへ動かします(円をかきながら下へ降りるのもいいでしょう)
5.終わったら手を洗いましょう。
ポイントです。
*両手を一緒に動かすのではなく、片手は肩におき、体が揺れ動かないようにするとよいでしょう。
*指先の力は抜いて、手のひらを使います。お風呂のあと、身体を拭くような感じ。
*動かすスピードは相手の呼吸に合わせるといいです。ゆっくり動かしましょう。
ケアをしている人は知らず知らずのうちに頑張りすぎることがあります。私がやらなきゃという責任感で自分自身の身体を忘れてしまったり、私だけ…と孤独になったりします。
ケアをしている人へのタッチケアは、そのような人に対して「頑張っていますね」「ひとりではないですよ」「自分の身体も大切にしてね」などのメッセージを伝えてくれるでしょう。タッチケアを受けている人は、しっかりとそのメッセージを受け取りましょう。
誰もがケアをしている人かもしれません。お互いにタッチケアをしながら、これからの年末年始を過ごしていきましょう。
【アドバイスをいただいた専門家】
ナーシングタッチ研究会
▽石田 寿子(いしだ ひさこ)
姫路獨協大学看護学部講師 看護師
専門分野:小児看護学
▽有田 秀子(ありた ひでこ)
湘南鎌倉医療大学看護学部講師 看護師
専門分野:老年看護学