【子育てカフェ】これって虐待ですか??
虐待としつけの違い、暴力に頼らない子育てについて、
「児童家庭支援センターしらゆり」(神戸市北区)の津田克己センター長に聞きました。
2020年06月08日
-どんな相談が多い?
「センターでは24時間の相談対応や家庭訪問、虐待を受けた子どもの見守りなどをしています。保護者からは『子どもに手を上げてしまった。どうしたら?』といった相談が多いです」
-どんなことが虐待になる?
「虐待は大きく4種類。たたく・蹴るなどの身体的虐待、性的虐待、育児に必要なことをしないネグレクト(育児放棄)、心理的虐待があります。
心理的虐待は言葉の暴力と言われ『お前なんか生まなきゃ良かった』などの言葉に深く傷つく子どもは多い。
子どもの前で一方の親が配偶者に暴力を振るったり、暴言を吐いたりする『面前DV』もそれにあたるとされます」
-しつけと虐待の違いは?
「しつけは、将来、子どもが自分の振る舞いをコントロールできるようにするもの。
虐待は英語のAbuse(アビューズ)の訳で、元の意味は『乱用』。
親が子どもを利用して、自分の心の問題を軽減しようとすることとも言えます」
-線引きは。
「明確な定義はありませんが、子どもが苦痛を感じているかどうかが一つの判断材料です。たたかれ、怒鳴られ続けている子どもはそれに慣れてしまい、親の暴力がエスカレートしていく。本当に虐待にあたるかどうかを判断するには第三者の目が必要になります」
-暴力のない子育てのために親は何を心掛けたら?
「追い込まれる前にできることを考えて。子どもの特徴をよく観察することが大切で、例えば、いつも同じ場面でかんしゃくを起こしてしまうのであれば、子ども自身が準備できるように、先の見通しを丁寧に教えてあげるといいでしょう」
-育児中の人にメッセージを。
「完璧にしなくていい。それよりも子どもが大切にされていると感じられるよう、
『好き』の気持ちを言葉やスキンシップで伝えて。当たり前のこともほめてあげて。
苦しい時は、役所や児童館、育児サークルなどで出会う人を頼ってほしいです」
【アドバイスをいただいた専門家】
▽つだ・かつみ
1973年広島市生まれ。愛媛大卒業後、障害者支援施設などに勤務。
2018年から児童養護施設「グイン・ホーム」の施設長。神戸市北区在住。