子どもとおでかけ
お出かけするとき気をつける点について姫路獨協大学 小島先生にアドバイスをいただきました!
2016年11月17日
お出かけは「家」と「外(家以外)」、「自分」と「他人」を意識できる機会です。子どもと一緒にお出かけすると、おうちとはまた違った経験がたくさんできます。
しかし、出先で子どもが騒いだり泣いたりして、困ってしまうこともよくあります。
困った行動をとったときに、色々と手を尽くしたけど結局、帰ってきてしまったり、楽しめなかったり…という声もよく聞きます。
今まで習慣化されていないことをその場でやめさせるのは大変です。かといって、一度教えただけでは、すぐさま行動につながりません。子どもができないことをできるようになるには、時間と手間がかかります。繰り返し、何度も、子どもがわかるまで、子どもの発達に合わせて伝えていくことが大切です。
1.準備
(1)公共マナーについて、保護者が絵本や、テレビ、ビデオ、などを用いてお話しする。
・1~2歳児は絵本やビデオなどをみながら、「バスに乗っているときは、お口はチャックね」など、お話ししながら見るといいでしょう。
・3歳頃からは「電車の中で走ったら人とぶつかって危ないので、ゆっくり歩こうね」など、理由を添えてお話しすると理解できることが増えていきます。
(2)子どもがぐずりやすい時のお出かけを避ける。
お昼寝の時間帯などで眠くなりやすい時、お腹がすいているとき、調子が悪い時などは子どもがぐずりやすいので、可能であればその時間帯を避けたり、予定に入っているときは、新しいおもちゃや絵本を持っていくなど、その時の対策を考えておきます。
(3)ゆとりをもって計画する
行程が決まっている場合などはギリギリに予定を組まず、ゆとりを持った計画を立てます。
時間に間に合わないなど親が焦ると子どもは不安になり、ぐずりやすくなります。
集合時間より早めの到着、1本早い電車など、予定外のトラブルがあっても対応できるようなゆとりを持っておくと安心です。
(4)お出かけ前のお約束
言葉が理解できる年齢のお子さんには、お出かけ前に「お出かけのお約束」を確認してみましょう。例えば、「今日は電車に乗って、〇〇にいくよ。電車に乗るときのお約束はなんだったかな?」、「今からお買い物に聞くけど、今日はお菓子を買わないよ」など、事前に確認しておくといいでしょう。
2.避けてほしいこと
(1)感情的に怒る
何度言っても言うことを聞かない子どもに、イライラして感情的におこってしまうと、子どもは怒られている理由がわからなくなることがあります。また、周囲にも不快な思いをする人がいるかもしれません。「こうしてほしい」と思う行動を子どものわかりやすい短い言葉で伝えましょう。
(2)他人のせいにする
「いうことを聞かないと、お店の人に怒られるよ」「あのおじさんがにらんでるよ」「悪い子はお医者さんに注射してもらうよ」「お巡りさんが捕まえに来るよ」など、他人のせいにするのは望ましくありません。他人の目を気にして行動すると、他人の目がない時は何をしてもいいと思うようになってしまいます。
(3)物で報酬を与える
「いい子にしてたらお菓子を買ってあげるね」など物で報酬を与えると、物のために行動することになってしまいます。できなかったことを叱るよりも、良い行動を褒めてあげた方がよい行動を強化することに効果があります。
(4)悪い行動パターンを作る
「電車の中でぐずったときに、お菓子を食べさせる」「おもちゃを買ってとしつこくねだられたり、泣かれたりした時に、買い与える」などは、「泣けばいうことを聞いてくれる」という悪い行動パターンを作ってしまいます。
(5)一貫性がない注意
「昨日は何も言われなかったのに、今日は同じことをしたのにダメと言われた」というように、大人の態度に一貫性がないと、どっちが「良いこと」か「悪いこと」がわからず混乱します。
3.子どもが騒いだり泣いたりしたときに、、、
(1)原因を探り、子どもの気持ちを理解する
楽しい場所や大好きなお友達と一緒の時など、わくわくした気持ちを抑えるのは難しいかもしれません。子どもの気持ちを汲み取りつつ、今はどうしたらよいかを伝えます。
(例)レストランでお友達と一緒にご飯食べるのって楽しいねぇ。レストランでお話しする時はどうしたらよかった? 小さな声でお話ししようね。
(2)その場を離れる。
何をしての状況が変わらないときは、施設から出る、電車を降りるなど、その場を離れることで気持ちがリセットされることがあります。
(3)周囲の人に配慮する
周囲の目を気にしてお出かけを控えるのはとても残念なことです。
お出かけは、日常とは違う状況を楽しんだり、自分も他の人も楽しむためにはお約束(公共マナー、ルール)があるのだということを知り、身につけるいい機会になります。
少子化で周囲に子どもが少なくなったことで、子どもに対する寛容さが薄れているといわれていますが、保護者が一生懸命、子どもをしつけている姿に厳しい目を向ける人は少ないと思います。逆に、周囲の人が不快に感じる保護者の行動には、度を越した叱責、迷惑行為の放置、子どもだから騒ぐのは当然という態度、などがあるようです。
不快に感じるかどうかは、個人差がありますが、迷惑をかけたと感じたときは「失礼しました」など、一声かけるのもいいかもしれません。
小さいこども連れの外出は、たくさんの荷物があるので出かけるだけでも大変なことです。お出かけがぐっと楽になる「そのご家庭やお子様ならではの工夫」を見つけながら、お出かけを楽しんで頂きたいと思います。
【アドバイスをいただいた専門家】
小島 光華
姫路獨教大学 医療保健学部 こども保健学科 特別教授、助産師