聞いて教えて

「出先でのイヤイヤ」について

「聞いて&教えて」で投稿のあった「出先でのイヤイヤ」について、甲南大学の北川 恵先生にアドバイスをいただきました!

2016年06月20日

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「出先でのイヤイヤ、どうしてますか?」

◆子どものイヤイヤ

 「イヤイヤは成長の過程と分かっていても、出先で泣き叫ばれるとほとほと困ってしまいます」という訴えは、多くの親の切実な思いですね。

 間違いなく、イヤイヤは子どもの成長の過程です。「(お父さんやお母さんと違って)自分はこう思う、こうしたい」というように、自分についての感覚が育まれてきた子どもは、「イヤ」という主張を通して、自分をアピールしてきます。

 まずは自己主張がしっかり発達して、その後に周囲と折り合う力が育ってきますので、なんでもかんでも「イヤ」という時期は親も対応に困りますよね。親に余裕のあるときなら、ある程度受け止められても、余裕のないときには手をやきます。外出先で人目があるときや時間がないときなどは、親も余裕がないですね。

◆対応の基本

 子どもはどんなときも、親から、「安全と安心」を与えてもらうことを求めています(注)。

(1)安心を与える(気持ちに寄り添う)

 誰かが自分の気持ちをわかってくれて、優しい言葉をかけてくれると「安心」しますね。

 例えば、外出先から帰らないといけない時に、「イヤ」と訴える子どもの気持ちを受け止めて、「もっと遊びたいのね、まだ帰りたくないのね」と声をかけると、子どもはわかってもらえたという体験をすることでしょう。

(2)安全を与える(毅然とした態度をとる)

 一方で、子どもの「安全」を守るために、必要なときは毅然とした態度をとることも親の大切な関わりです。例えば、子どもが楽しそうに遊んでいても、危険な行動をしていたら止める必要がありますし、いくら楽しくても区切りをつけて帰ることも必要です。肝心なところは親が必ず守ってくれると思えるから、子どもは「安心」して主張できるのです。

(3)安全と安心のバランスをとる工夫

 先の例のように、外出先から帰らないといけないのに子どもは「イヤイヤ」。子どもの気持ちに寄り添う優しさも必要だし、ある程度の時間には帰れるよう毅然とした態度も必要。どちらも大切で、そのバランスをとることが難しいのですが、そこが大人の知恵で工夫のしどころです。まずは子どもの気持ちに寄り添う言葉かけをしてから、「あと○回ね」と約束をするとか、帰ってからの楽しみを提案するとか、折り合える方法を工夫してみてください。

(4)気持ちを落ち着かせて

 折り合える工夫をするには、親に余裕が必要ですね。もしも自分がイライラしている、感情的になっていると気づいたら、ぜひ一呼吸してください。トイレに行ったり、お茶を飲んだり、大きくため息をついたり、とれる方法で、まずは自分を落ち着かせてあげてください。子どもも感情的になっている最中は、折り合いの提案を聞くどころじゃないかもしれません。そんなときは子どもの気持ちにまずはしっかり寄り添うことが近道でしょう。

 言うは易し、行うは難し、ですね。きっと誰もが体験し悪戦苦闘している悩みです。親同士で悩みを分かち合って、工夫を共有できることも助けになるかもしれません。

 甲南大学人間科学研究所では、親が子どもの安心基地になることを目指した講座や親グループを開催しています。いつでもお問い合わせください。

http://www.konan-u.ac.jp/kihs/

(注)「安心感の輪」子育てプログラム(Cooper, Hoffman, & Powell, 2009;北川・安藤・松浦・岩本訳、2013)の考え方をヒントにしています。

【アドバイスをいただいた専門家】

北川 恵(きたがわ めぐみ)

甲南大学 文学部教授、臨床心理士。

専門分野:臨床心理学、人格発達理論

聞いて&教えて【出先でのイヤイヤどうしてますか?】

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