「産院を選んだポイント」について…下…

「聞いて&教えて」で投稿のあった「産院を選んだポイント」について、パルモア病院院長の山崎先生にアドバイスをいただきました!8月7日にオンエアされたラジオ関西子育て応援プログラム「にょっきにょきラジオ」でもお話いただいています。

2016年08月09日

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◆「母乳」で育てたほうがいいんですか?

 最低生後6か月は完全母乳栄養が赤ちゃんの成長にとって望ましいことが、産科学、小児科学の教科書に明記されています。人工乳に対する母乳の優位性は数多く知られています。

・ヒトの身体に最も合ったバランスの栄養成分が含まれています。

・免疫物質が含まれており、赤ちゃんをさまざまな病原体から守ってくれます。

・赤ちゃんの脳の発育過程の中で、お母さんに対する信頼関係がはぐくまれます

・母乳分泌に関わるホルモンの作用によりお母さんの赤ちゃんに対する愛情が満たされ、これらにより「母児愛着形成」がますます強くなります。

・人工乳と違い必要以上の量をあげることがないので、乳児期、小児期の肥満を防止し、さらには大人になってからの生活習慣病防止が期待できます。

・なんといっても、お母さんにとっては人工乳を調整する手間がかからない分簡単です。特に夜間や、外出時。あるいは災害時など。

◆どうしても「母乳」が出にくいという人はどうすればいいですか?

 もちろん、本当に母乳分泌が足りない場合には人工乳を足さなければいけません。

 そして、人工乳哺育のお母さんが赤ちゃんに対して十分な母児愛着形成を実現できるよう、ご自身や周囲が最大限努めていただければ何の問題もないはずです。母乳は育児にとって大切な要素ですが、あくまでも手段です。

 しかし一方では、お母さんや周囲のちょっとした努力で母乳哺育が可能なはずなのに、誤解や理解不足で人工乳を足してしまうことがよくあります。

 たとえば、生後1日めから2日までの間、母乳の分泌量がまだ少ない時期は赤ちゃんが空腹感のために始終泣きっぱなしになることが多く、しばしば人工乳を足してしまいがちなのですが、実は、正常新生児であればこの時期に水分や糖分、人工乳を足さなければならないケースはそれほど多くありません。

 授乳しても授乳しても母乳量が少ないので赤ちゃんはすぐに泣き始めるため、「母乳が出ない体なんだ」と自分も周りも思い込んでしまうことが多いのですが、正期産で正常体重の赤ちゃんであれば、この時期に脱水や低血糖が起こることは通常ありません。逆に、安易に糖水や人工乳を与えると、赤ちゃんのおっぱいを吸う刺激が減ってしまい母乳分泌量増加のきっかけが失われてしまいます。この期間を過ぎると、出産後3日目以降は母乳分泌量が一気に増えることが殆どです。

 要は、お母さんが「母乳が出ないのでは?」と悩まれる時期を、医療スタッフによる励ましやサポートによりうまく乗り越えていただくことが母乳哺育確立のためにとても大事なのです。

 また、退院時にはせっかく母乳だけで行けてたのに、1ヶ月健診までの間に、ご家庭で人工乳を足してしまうことも稀ではありません。これも、本当に母乳が出ないというお母さんは少なく、授乳のタイミング、赤ちゃんの抱き方やあるいはおっぱいのケア、などちょっとした工夫で解決できるという問題がかなり多いのです。

 さらには、1日の体重増加量が「平均」より少ないからという理由ですぐに人工乳を足すという指導があるかも知れません。しかし、正常に発達した赤ちゃんの体重の増え方はかなり個人差があり、退院時から1か月健診までの間1日あたりの体重増加量は20~40gとかなりの幅があります。体重がよく増えた赤ちゃんの方が「頭がよい」なんてことはありません。逆に人工乳で体重が増えたとしても、感染症への抵抗力が弱かったり将来の生活習慣病予備軍となるような子供さんになっては困ります。

◆産婦人科医療施設の役割は?

妊娠は病気ではありません。

 しかし、妊婦さんはちょっとした体の変調が大きな異常につながりやすく、予想もしなかった重大な疾患に発展することがあります。お産においても、妊娠期間中まったく順調に経過していた場合でも、突発的にお母さんや赤ちゃん、あるいはその両者に異常が起こることが一定の割合で起こります。

 したがって、お産を取り扱う医療施設は、現代医学の知識と技術に裏付けられた安全性を提供しなければなりません。しかし、お母さんが子育てを視野にいれてお産に臨んでいただくことが必要です。

 そのためには、「安全」だけでは不十分で、ご自身自身が「産んだ」との想いに満たされることが必要です。お母さんにとって快適で達成感のあるお産を援助することが産科医療施設には求められます。

 また、お母さん方の不安解消や異常発生予防には、経験豊かな助産師や看護師による指導やきめ細かな観察がきわめて大きな役割をはたします。これら看護スタッフやその他医療スタッフと医師が緊密な連携を持つことも必要です。

◆これからお産を控えているお母さん、お父さんへのメッセージ

 普通のお産にしても、帝王切開にしても、お母さんにとってお産は大変な重労働です。でも、痛みや不安と闘った後にようやく生まれてくれた赤ちゃんを初めて抱いているお母さんの表情はとても美しく、喜びにあふれています。その瞬間から、お母さんと赤ちゃんを結ぶ絆は新しいものに変わります。お父さんの大事な役割はその絆を誰にも壊されないよう、どんどん太いものに育てていくことで

す。そして、そのためのヒントはお産の直後からたくさん感じ取っていただけると思います。産院で、赤ちゃんの健やかな成長のためにさまざまな情報とノウハウを手に入れていただき、幸せな家庭づくりを目指して下さい。

【アドバイスをいただいた専門家】

医療法人社団純心会パルモア病院院長

産科・婦人科医師

山崎峰夫先生

聞いて&教えて【産院を選んだポイント】

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